辻 まこと

辻 まこと / 作家、画家、ギタリスト、アルピニスト、Critic、etc..

辻 まこと

『教育された感情の方向から未開の感情の深みへ、その未知の星座の煌めく宇宙へ言ってみなければ、人間は何も分かったことにならない』若い頃、この言葉そのものが私にとって未知の星座だった。
『二〇〇一年宇宙の旅』の「モノリス」のように私の上に君臨した。

ある夕刻、辻さんは山の畑田の中にただならぬ気配を放ち、一本の杭のように立つ一人の狂女を見た。
夕日に染まる山岳を凝視する彼女の瞳が何を見、いまその全身の中でどんな驚異が起きているのか合点がいかなかった。

あたりが真っ暗になって、突如稲妻の閃光に打たれたかのように「彼女はいま、まさに山を産み落とそうとしているのだ」と分かった。

あの水の巨大な堆積をはじめて『う・み=海 』と名付けた人類の知の黎明期にいままさに立ち会っているのだという厳粛な思いに身が震えた。
人間の知とはこんなすごい次元のことを言うのだと、初めて私は知った。

>> 辻まこと氏の作品

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